ツアラーのCVOでオーディオをアップグレードするにはどうすれば良いのか?
という質問が時々あります。
オーディオメーカーの製品ページを見ると2012以降ツアラーは非適合と表示されている物が多いです。
この理由は1オームという異常に低いインピーダンスのアンプ、スピーカーが使われているせいと言われています。
実はCVOでも車種と年式で搭載しているアンプの種類、スピーカーの種類が異なり、配線も異なったりします。
以下、ワールドモーターライフの独自調査によるCVOツアラーのオーディオおよびそのアップグレード情報です。
※車種や年式により細かく分かれるため、内容には一部誤った情報が含まれている可能性があります。ご了承下さい。
(誤った情報に気づかれたら、ご連絡ください)
<まず、通常のツアラー>
通常のツアラーはデッキ内蔵のアンプを使用しているのでハイパワーという訳にはいかない。
高速などでは非力に感じる事も多く、外付けのアンプを使用するとよりハイパワーで、良い音で鳴らす事が可能になる。
2006~2013のツアラーはフェアリングに5-1/4インチ口径のスピーカーを
使用していた。
インピーダンスは2オーム。古い年式だとインピーダンスはもっと大きい。
アンプは25WX4ch
2014年以降のツアラーはスピーカー口径が6.5インチ口径でインピーダンスが2オームとなった。
よりリアリティのある音が出せる。
しかし、アンプはデッキに内蔵なので、あまり迫力ある音という訳にはいかない。
デッキにアンプが内蔵されている場合、アンプのしめる面積は制限されるためあまり大出力のトランジスターやMOSFETチップは搭載できない。
<2012 FLHTUSE7>
2012のFLHTCUSE7(ウルトラCVO)は通常のツアラーがデッキ内蔵のアンプを使用するのに比べ、専用アンプをフェアリングに搭載している。
高速などでどうしても非力さを感じる事のあるツアラーのオーディオだが、CVOモデルはアンプを搭載する事で格段にパワーのあるオーディオとなっている。
出力は 40WX4chなので、もっとパワーが必要、もっと良い音で、という場合はアンプやスピーカーを交換すればよい。
入力は一般的なハイレベル入力なので、J&M, Boom Audio, Hawg Wired, Hogtunes などのアンプやスピーカーが使用できる。
4chのアンプからフェアリングスピーカーとリアのスピーカーを駆動しているオーソドックスな構成。
アンプ(76192-06B)はフェアリング内に装備され、40WX4chで2オームのスペック。
アップグレードし易い構成だ。
<2012 FLHXSE3 CVO>
2012~2013のFLHXSE3にはフェアリング左右のスピーカー(2way)の他にトィータが装備され、ロアフェアにもサドルバッグリッドにもスピーカーが装備され、8スピーカー構成!豪華なステレオが装備されている。
さて、このCVOには何と1オームのスピーカーが装備されていると言われているが、Hogtunes,J&M,Rockford Fosgate,JENSEN など各オーディオメーカーも1オーム対応のアンプやスピーカーは販売しておらず(2018/12現在)、スピーカーのアップグレードや交換が心配なところ。
ツアラー用オーディオを販売している各社のホームページを見ると各社のアンプやスピーカーは2012以降CVOには適合していないという記述が書いてある。
しかし、2012以降のCVOはデッキの他にアンプを搭載しているが、CVOの車種によりアンプの種類や配線が異なり事情が異なる。例えば、ウルトラCVOは通常の2オームスピーカーやアンプが使用できる。2014以降は2オームなので心配は要らないが、このFLHXSE3が一番特殊と言えるかも知れない。
フロント・アンプ
通常であればこのスピーカー構成だとアンプは最低でも6chが必要になる。しかし、FLHXSE3にはアンプはフロントとサドルバッグに各1個の2個しか搭載していない。
アンプは100WX2chと言われている。
ツアラーCVOモデルの回路図を見てみると、何とフロントのスピーカー、トィーター、ロアフェアスピーカーが並列に接続されている。
並列につなぐとインピーダンスが下がる、
ハーレーからは公開されていないが、この配線図から見るとアンプの出力インピーダンスが1オームだとするとスピーカーには2オームか4オームを使用していると思われる(スピーカーの裏に書いてある?)。
(左はスピーカーの配線図 3~4個のスピーカーが並列に接続されている)
市場には1オーム出力のアンプというのはほぼ存在しないので、出力2オームのアンプでスピーカーは4オームの並列接続ではないかと思われる(未確認)。
配線自体が並列になっているので、そのまま接続すると低くなったインピーダンス(約1オーム)のスピーカーをアンプは駆動しなくてはならない。その為、各社ともCVOモデルには適合しないと記述しているのではないか?と思われる。ちょっと前までスピーカーのインピーダンスは8~4オームだった。
1オームというインピーダンスは驚異的に低く、電流が流れやすい。例えば4オーム駆動のアンプをこの配線に接続してしまうと電流が流れすぎて故障してしまうか保護回路が働いてしまう。
スピーカー単体は恐らく2(もしくは4)オームと思われるので、そうだとすれば故障による交換やアップグレードは問題ない。もちろん、スピーカーとアンプをセットで交換する場合は何の制約も無いが、その場合も既存のスピーカー配線は使用せず、パラレル接続をやめて、それぞれを別のアンプ出力からドライブするのがお勧め(4chアンプを使う)。
2014以降のCVOではパラレル接続をやめており、2012~2013のFLHXSE3だけがパラレル配線を使っているもよう。
搭載しているアンプは最近耳にするようになった「1オーム負荷ドライブ」アンプと思われる。2~4オームのインピーダンスのスピーカーを並列に接続して1オーム位まで下がった状態のスピーカー群をドライブできるアンプの事である。
ちなみに、CVOのアンプは電源にSW-ONの12Vは使用しておらず、CANBUS制御になっている。CANBUS信号はデッキに接続されているので、ノーマルのデッキを外して社外デッキに交換するとアンプの電源が入らなくなる。車両のCANBUSに接続すれば動作すると思われるが、CANBUSはすべてを制御している信号線なので注意が必要。
リア・アンプ
2012 FLHXSE3のパーツカタログを見るとアンプは1個しか記載されていない。
しかし、8スピーカーを1個のアンプで駆動しているとは思えず、ネットで調べると2アンプと記述があり、これが正しいと思われる。
(正しい情報をお持ちの方、教えて下さい)
サドルバッグのリッド・スピーカー用に使われているアンプはフロント用と同じ100WX2chの200Wスペックのアンプ。接続されているスピーカーは2オームと思われる。アンプのインピーダンスが1オームだとすると出力は半分程度まで落ち込むかも知れない。
FLHXSE3のステレオはスピーカーとアンプだけで左のような装備となり、かなり豪華。
特殊な接続なのでアップグレードや交換する時には注意が必要かも知れない。
<2012FLTRXSE CVO>
この年式のFLTRXSEには上記のFLHXSE3と同じ100WX2chスペックのアンプ1個が使用されている。
駆動しているスピーカーはフェアリング左右のスピーカー(2wayで面積の広い5X7インチタイプ)と高音用のトィータ。
恐らく、スピーカーは2オームと思わる(スピーカー裏に書いてある?)。
もしそうなら一般の5X7インチのアップグレード・スピーカーを接続できるし、原理的にもっと音質の良いアンプ(A/B級又はG/H級)に交換も可能と思われる(FLTRXSE/FLHXSEに搭載のアンプはD級動作)。
<2014 FLHTKSE>
2014以降のCVOモデルにはBoom!Audioのステージ2と呼ばれるオーディオが搭載されている。
75WX4chのアンプを搭載してフェアリング左右のスピーカーを駆動している。インピーダンスは一般的な2オーム。
左右だけで150WX2chと強力なので高速のハイスピードでも負けない音量で鳴ってくれると思われる。
キットの特徴
ウーファ+ミッド&トィータ(3way構成)
インピーダンス:2オーム
76000524A
- 3ウエイスピーカーで低域から高音まで迫力ある音
- 4chアンプだがウーファーとミッド用スピーカーに別々の出力を使用しており、2スピーカーしかドライブできない。
- ツアーパックスピーカーやロアフェア・スピーカーには別アンプが必要
- アンプはクラスD動作(音質はクラスG/H又はA/B級の方がベター)
- フロントの2つのスピーカー(各3Way)に4chのアンプ出力を使っている。
ツアーパックやサドルバッグ、ロアフェアにスピーカーを装備する場合は
別のアンプが必要になる。
ステージ2のアンプは特殊
ハーレーのカスタムパーツで、ステージ2のアンプという物が採用され始めた。
通常の4chアンプは入力が4ch(フロント+リアで左右)で出力も4chだが、このアンプは入力が2ch(左右)で、出力が4chある。
ロアフェアなどを意識したアンプと思われる。
電源は通常+12V,マイナスアースの他にアクセサリー電源(SW-ON)が必要だが、このアンプにはアクセサリー電源が入っておらず、かわりにCANBUS信号が入っている。アンプのON/OFFはCANBUSで制御している。
今後はこういうアンプが増えてくるかも知れない。
<2015~2016 FLHXSE>
2014以降のCVOモデルには上記で説明したBoom!Audioのステージ2と呼ばれるオーディオが搭載されており、2012~2013のCVOとは全く異なる。
75WX4chのアンプを搭載してフェアリング左右とロアフェアのスピーカーを駆動している。インピーダンスは一般的な2オーム。
左右だけで300W(75WX4ch)と強力なので高速のハイスピードでも負けない音量で鳴ってくれると思われる。
リアのサドルバッグ・スピーカー用にも同じステージ24chアンプを搭載している2アンプ構成となっている。こちらはサドルバッグとツアーパックスピーカーをドライブする。
キットの特徴
- 3ウエイスピーカーで低域から高音まで迫力ある音
- アンプはハーレー用として一般的なクラスD動作
- ステージ2のアンプを1台搭載の車種と2台搭載の車種があり、1台の場合はフェアリング・スピーカーの他にロアフェアもしくはサドルバッグのスピーカーを駆動する。
- アンプ2台搭載の車種は2台目がサドルバッグにあり、サドルバッグ・スピーカーとツアーパックPODのスピーカーを駆動する。
やはり、ハーレーのツーリングモデルのオーディオは奥が深い・・・
CVOも車種年式でアンプや配線接続が変わってくるので注意しよう。
タロー
とても参考になりました
2010FLHXSEに2012FLHXSE3と同じはずのブームオーディオキット(30数万円)をディーラーにて装着してもらいました。
ところが装着当初からまったく音が出なくなる現象が再三現れしばらくすると全く音が出なくなりました、原因がわからずディーラーではクレームでそっくり同じキットの交換をしましたが結果は同じでした、結局デッキ本体を交換してしばらくするとまた同じ現象で今現在は全く音が出なくなりました、御社のこの記事によるとトラブルの原因は過電流か保護回路の動作ということが記されていますがまったくそのとうりの原因でしたらどのような対策と処置が考えられますか。
worldmotor 投稿者
ハーレー、ツーリングモデルCVOのステレオをアップグレードされたのですね。
CVOは車種と年式で搭載している機器が異なります。
2010FLHXSEはデッキの他に外付けアンプは搭載しておらず、そのまま通常のツアラーと同様にスピーカー(2オーム)に接続されています。
一方の2012FLHXSE3に搭載されているオーディオは非常に特殊で、外付けアンプ(300W?)を2個使用してますが、スピーカーのインピーダンスは何と1オーム。
1オームのスピーカーはまず見ない仕様です。
インピーダンスはスピーカーの後ろに刻印してあるはずなので、確認できます。
しかも、サービスマニュアルの配線図を見るとスピーカーを並列接続してアンプから駆動している?(詳しくは”ツアラーのCVOモデルのオーディオ”を見て下さい)
Hogtuneなどの社外オーディオメーカーは、このスピーカーには対応していないので接続しないように、と注記しています。
このオーディオキットはちょと危ないと思います。
1オームというインピーダンスはゼロに近く、アンプからの電流が流れすぎて壊れる危険性があります。
デッキ本体はアンプとは別なのでデッキを交換して一時的にせよ直ったのならば、壊れたのはデッキでしょうか??
対策と処置ですが、デッキが故障しているのならばアクアティックなどに交換をお勧めします。
スピーカーのインピーダンス(刻印)を調べて、2オームか4オームなら社外のアンプをお勧めします。
配線は引き直す必要があると思います(現状が並列接続なら使えない)。
配線はできる人ならそれほど難しくありません。
スピーカーが1オームなら2オームに交換をお勧めします。
どのアンプを接続してもアンプが壊れる可能性があります。
タロー
回答ありがとうございます。
このブームオーディオキットのスピーカーは全て1オームでした、今は殆ど音声が出ませんがたまーに鳴り出してまたすぐに途絶えます、アドバンスプレーヤーデッキも一度交換しましたが2年足らずでこの状態ですので諦めて全て取り外してアクアティックにしてノーマルのスピーカーに戻してロワーフェアリングに何かしらのスピーカーをと思います、ウチには2012年のFLHXSE3もありますけどオーディオのトラブルは全くありませんとにかく不思議な現象でした、ディーラーもハーレージャパンもお手上げでした(笑)
F
TRU-cvo2016のキングツアーバック(スピーカー)を外してチョップツアーバックに変えたんですがリヤスピーカーを外した代わりにロワスピーカーを取り付けしたいのですがアンプは必要になりますか?そのままロワ用のスピーカーを取り付けすれば音はなりますか?
worldmotor 投稿者
そのままロワ用のスピーカーにツアーパック用のスピーカー線を接続すれば鳴ります。
かずや
始めまして。とても勉強になりました。
当方、2011年式のFLHTKを純正社外?のツイタータイプで4スピーカーで乗っているのですが、友人が2010年のウルトラCVOを乗ってまして社外アンプに交換したとの事で純正を譲り受ける予定なのですが、すんなり取り付ける事は可能でしょうか?配線の束みたいなのも一緒に渡すとの事でした。
worldmotor 投稿者
2010ウルトラCVOの純正アンプを譲り受けるという事ですか?
CVOは年式と車種で細かく仕様が変わります。
2つポイントがあります。
1)スピーカーのインピーダンス
2オームであれば問題ないです。ウルトラのカウルを外した時にスピーカーの後ろにインピーダンスの刻印が無いか見てもらう
1オームだと適合しません。
2)入力がハイレベルかローレベルか
純正のデッキならローレベルの出力が無いので、スピーカーから取るハイレベルだと思います。
であれば問題なし
多分接続は出来ると思いますが、すんなり行くかどうかは判りません。
M
2010年 FLHXSEにハーレーダビッドソン純正76000202はつくのでしょうか?
worldmotor 投稿者
2010 FLHXSE にも取り付け可能ですよ。ただし、ロアフェアやサドルバッグリッド等が必要です。
でれすけ
2014のウルトラにboomオーディオで2アンプ、8スピーカーにしております。
全て純正なんですが、スピーカーだけを社外メーカーに変更しようと思ってます。
例えばホグチューンにスピーカーを交換したら、今のシステムより音は良くなるでしょうか?
worldmotor 投稿者
BOOM!に比べHogtunesは約半額です。
純正がちょっと割高だとしても、HogtunesがBOOM!より良いとは言い難いです。
※Hogtunesは価格の割に良い音が出ますので、おススメではあります。
J&M ROKKER 300W 6.5インチスピーカーのような高出力に耐えられるスピーカーにして、アンプを変え、再生するデッキを変え、収録するデバイスを変え、デッドニングを施せば、良い音も望めます。
また、ハーレーの場合、スピーカーが樹脂にクランプされていることが多いため、あまり出力を上げてもスピーカーが揺れてあまりいい音になりません。