ご存知のようにバッテリーはバイクを動かすのに重要な役割を担っている。
エンジンが体、オイルが血液、ガソリンが食料、フレームが骨と仮定するならばバッテリーは人間で言う魂になる。
魂となるバッテリーが弱るとどうなるかと言うと…
■エンジンがかからない、セルを回してもカッカッカッと空回りするような音だけがなり、プラグに電流が回らない為、エンジンに火が付かない。
■走行中に失火する、電流が弱いのでエンジンを回す電力が足りなくなり、結果、失火してしまう。
バッテリーの寿命に関しては、乗り方や保管方法などで変わるが、ハーレーダビッドソンは2年での交換を推奨している。
そこでバッテリーを交換する際に鉛バッテリーとリチウムバッテリーというのを目にする事があると思うが、その2種類は何が違うのかをここでは説明しよう。
ハーレー純正バッテリー
左の画像は、ハーレー純正のスポーツスター用、鉛バッテリーである。
スペックは、容量:12(AmpHour) CCA :160となる。
CCAとはCold Cranking Ampereの略称であり、簡単に言うと、エンジン始動時にかかる初動の電力の数値となる。CCAが高ければ高いほど、エンジン始動の電力が強く、エンジンのかかりが良くなる。
サイズは縦:約14cm
横幅:約15cm
奥行:約8.5cm
SHORAIリチウムイオンバッテリー
右の画像は、SHORAI製のスポーツスター用、リチウムイオンバッテリーになる。
スペックは容量:12(AmpHour) CCA :計測不可。
CCAが計測不可の理由は、後に説明をしよう。
サイズは縦:約13.5cm
横幅:14.5cm
奥行:約8cm
鉛バッテリーの特性
鉛バッテリーは、電極に鉛を用いた二次電池となり、リチウムバッテリーなどが販売されるまで、長年使用されていたバッテリーとなる。
鉛バッテリーの利点は、原料が鉛なので大量生産が可能で、再生可能という事。
また、冬場のクランキングも強く、バッテリー上がりも徐々に起きる為、交換時期が把握しやすい。
但し、鉛を原料としている為、重量が重い。
左の写真を見てもらうと分かるが、5キロ近い重量がある。
リチウムバッテリーの特性
リチウムバッテリーとはリチウムイオンが電解液の中の正極と負極の間を移動して、充電や放電を行うバッテリーとなり、非常に軽量なのと寿命が長い事が利点である。
純正のバッテリーと比べると1/5位、軽くなる。
また、寿命も使用方法によるが純正が2年なのに比べて3~5年程まで伸びる。
バッテリー交換のコストや頻度を気にする人にはリチウムバッテリーはお勧めである。
但し、リチウムバッテリーは寿命がいきなり来るので、交換時期が把握しにくい。
リチウムバッテリーの欠点
リチウムバッテリーは軽量で寿命が長いという部分だけ聞くと、鉛バッテリーと比べて魅力が上がる!
ただ、世の中に完璧な物などないし、完璧なら主流がリチウムバッテリーになっているはずだが、そうなっていない理由がいくつかある。
まずは、冒頭でリチウムバッテリーのCCAは計測不可と記載したが、その理由はリチウムの寿命の長さにも関係する。
リチウムバッテリーが鉛に比べると長持ちする理由は、常に放電を続ける鉛バッテリーと異なり、リチウムバッテリーは保管時の放電を最小限にしている。
放電が少ないので、バッテリーの寿命が長い。但し、放電を抑える為、基本は機能していない状態になる。
気温の高い夏場は問題ないが、気温が低い冬場はイグニッションをONにしてすぐにセルを回してもクランキングしない。
バッテリー上がりのような症状になる。
これは、リチウムバッテリーが寝ている(機能していない)状態になるからだ。
その為、気温の低い冬場はライトONにして数分放置し、リチウムバッテリーを起こす必要がある。
通勤などでハーレーを使用している人には、この数分がとてももどかしい。。。
また、SHORAI製のバッテリーに関しては専用の充電器が別売されている。
このため、SHORAI製のバッテリーに変更した場合には同時に充電器も変更する必要がある。
リチウム対応のバッテリー充電器も販売があり、それも使用可能だが、メーカーは専用物を使用しない場合には保証外としているので、出来れば専用の充電器を使用した方がベターである。
鉛バッテリーとリチウムバッテリーはどちらが良いのか?
ここまで鉛バッテリーとリチウムの違い・利点・欠点をご紹介してきたが、正直、どちらも利点があり、欠点がある為、甲乙を付ける事が出来ない。
なので、自身の要望・用途にあった選び方をしてもらえればと思う。
乗り出しをスムーズに、今までと変わりない状態を保ちたいのであれば鉛バッテリーを。
鉛のバッテリーで寿命が短いと感じているなら、心機一転、寿命の長いリチウムバッテリーを。
スタイルにあったバッテリー選びで、常に車両が元気な状態が望ましいと筆者は考える。