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ハーレーのエアクリーナーの内部構造
ハーレー用ハイフローエアクリーナーは性能が良くてカッコもいい。
内部はどうなっているのか?
これはアレンネスのステージIハイフローのエアクリーナーの内部。
エンジン側に取り付けるバックプレートの写真。これにフィルターを固定するカバーが外側に取付く。
エアクリーナーは埃を除去するのが主目的だがもう一つ、ブローバイガスの還元機能も持っている。ノーマルのエアクリーナーを分解してみよう。
エアクリーナーを外すとバックプレートが見える。
ノーマルとハイフローではバックプレートの形状もかなり異なる
吸気口の両側のシリンダのネジ穴はエアクリーナーを固定すると同時にブローバイガスが出てくる
ブローバイガスの還元とは
(注)ブローバイガスとは、ピストンとシリンダーのすき間から漏れてクランクなどにたまる未燃焼ガスや排気ガス。
通常はヘッドからエアクリーナーに戻してシリンダーに送りこみ燃焼させる。
どうやってクランクからヘッドまで上げているかというと、ハーレーではプッシュロッドの内側に穴が開いていてそこから送られている。プッシュロッドは中空で驚くほど軽い。
ハイフロー・エアクリーナーでもノーマルと同様にブローバイガス還元方式を採用している物がほとんどで、フィルターが露出していても車検は問題ない。
ホースを使用したブローバイガス還元の例
(写真はS&Sエアクリーナー)
両側の固定ボルト部から出てくるブローバイガスは、ボルトの中の穴からホースを通して吸気の負圧でエンジン内に吸い込まれていく。
一体型バックプレートの例
両側の固定ボルト部から出てくるブローバイガスは、ネジ内の穴からバックプレート内部の溝を通して内側に送られて、吸気口に吸い込まれていく。
ブローバイガス還元のデメリット
ハーレーも含めてノーマルで採用されているブローバイガス還元して燃焼させると3つ欠点がある。
(1)シリンダーやバルブなどにカーボンが付き、汚れる
オイル成分を燃焼させるのでどうしても汚れる
(2)高温の未燃焼ガスや気化したエンジンオイルを燃焼させるのでパワーロスになる。
(3)エアクリーナーからオイルが垂れてくる事がある。
通常、ピストンやヘッド、バルブにはカーボンが付着する。この汚れは主にブローバイガス還元に含まれるオイル成分によるもの。
このピストンはノーマル状態で8,000マイル(約12,000Km)走行のもの。
ブローバイガスを還元しなければ、ピストンやバルブはキレイ。左は27,000マイル(約43,000Km)走行のもの。
ハイフローエアクリーナーでオイル漏れ?
ハイフローエアクリーナーに交換してからエアクリーナーからオイルが漏れるという症状に悩まされる事がある。オイルが滲んで垂れてくるので気になる。これは、ブローバイガスに含まれるオイルをエンジンが吸いきれないから。
エンジンはいつも吸気し続けている訳ではなく、エンブレをかけた時など負圧が減る。
この時にブローバイが噴出してくるとエアクリーナー内部でオイルが下に流れてしまう。
なぜハイフローで起きやすくなるかというと、吸気抵抗が少なく、構造もシンプルでノーマルのようにフルカバーではないから。
オイルキャッチタンクを使う方法もある
実はレーシングカーはオイルキャッチタンクを装着してブローバイガスはエアクリーナーに還元していない(エアクリーナーもなくファンネルだったりするが)。目的はパワーを追い求めるから。ブローバイガスには燃焼しにくいガスが含まれており、しかも高温のガスなので吸気させるとパワーダウンにつながってしまう。同様のシステム(オイルキャッチタンク)がハーレー用にもある。
これはクリアキンのハイフローエアクリーナーに装着した例。
ブローバイガスはエアクリーナーに送られず、下にあるオイルキャッチタンクに送られる。このタンクは定期的に掃除しなくてはならない。ガス成分はここから大気開放されるので恐らく車検には通らない。
このオイルキャッチタンクをノーマルの楕円のエアクリーナーカバー内に装着している人もいる。
このオイルキャッチ・タンク(型番:DK-PR-CC-BRT-TC)の取付は、ブローバイの部分のスペーサーと写真のスペーサーを交換する。
そして耐油ホースでタンクに接続する。タンクを置く場所に迷うかも知れない。