ハーレーのシートを変える大きな理由は、①ローポジションにして足付きを良くしたい、②乗り心地を良くして長距離でも疲れない、痛くないようにしたい、が圧倒的に多い。その他デザインを自分好みにカスタムしたいとか、ストッパ構造のシートやバックレスト付にするなどの理由の時もある。
①ローポジションにして足つきを良くしたい
アメリカで開発されたハーレーなので、そのままで平均的なサイズの日本人が乗ると、ハンドルが遠いとか、足が付きにくいといったポジションの問題が発生する事がある。
ハンドルやペグを交換する方法もあるが、シートを交換するだけで多くの問題を解決できる事もある。
特に足つきに関しては、シートを変えるかサスを変えるかしかない。
低い方がハーレーには似合うので、デザイン的な理由で低いシートを選ぶ人も多い。
以下、ツアラー用の代表的なローポジションシートを紹介しよう。
(A)ラペラ(Lepera)シート
ラペラのシートには薄いシートが多く、ファンも多い。
左はベアボーンズ(Barebones)シート
全体的にスリムで薄く、足つきは良い。
オプションでスティッチ(縫い目)が入ったシートもあり、プリーツドシートやダイアモンドスティッチのシートは人気が高い。スティッチ(縫い糸)の色を指定したり、表皮を本革に指定したり、あるいはクロコダイル調(型押し)もオーダーできる。ただし Lepera社にオーダーして製作してもらうと1か月以上の時間がかかり価格もアップする。
左はシルエット(SILHOUETTE)シート
ベアボーンズと比較される事が多いが、こちらも薄いシートで足つきは良い。座って比較すると、ベアボーンズの方がやや低く感じるが、一番の違いはシルエットの方がお尻の部分が盛り上がっているという事。
その分、体はやや前方に出る形になる。
アメリカのシートは日本人には少しハンドルが遠くなりがちなので、こちらの方が日本人向きかも知れない。
左はラペラのスタブ・カフェというおしゃれなシート。
プリーツ仕様で個性的。
ラペラからはアビエーター(Aviator)というソロシートも出ている。
前方はベアボーンズとあまり変わらないが後ろの形状が異なる。
後方が幅広で体をささえてくれる。体重が分散されるので乗り心地は良く、止まった時はローポジションで足つきが良い。
さらにラペラからは左のモンタレー(Montarey)というシートも販売されている。シート後部がストッパーになりライダーを支えてくれる。
オプションのパッセンジャーシートを組み合わせるとどう見ても2UPシート(2人乗り用シート)にしか見えない。
ラペラのデザインセンスは凄い。
ラペラのシートは選ぶのに迷ってしまう。
2人乗りで乗る事が多いという人には、ラペラの2UPシートがおすすめ。
左はマーベリック(Marveric)というシート。
ライダー部は低くて足つき良く、パッセンジャー部は適度な厚みがある。
これ意外にも様々なデザインのシートが用意されている。
詳しくはTOPのツアラー>シート>ラペラを参照して見よう。
(B)マスタング(Mustang)シート
アメリカのマスタングのシートも人気がある。
マスタングのシートはノーマルよりも低く、ある程度の厚みがあって乗り心地が良い。
両方を両立させたい、という人向きなシート。
前方は幅を狭くしてあり足つきは良い。
左はマスタングのランアラウンド(RUNAROUND)というシート。
薄く仕上げてあり、足つきは良い。
(C)ダニーグレイ (DannyGrey)シート
ダニーグレイのシートも日本で人気がある。
薄くて座面はやや幅広にデザインされているが、前方はちゃんと絞ってある。
ツアラーに似合うデザインだ。
②シートを単に低くするのではなく、前に持っていきたい。
平均的な日本人の体形だとハンドルがやや遠い場合がある。その場合はハンドルを少し後ろにプルバックしている物に変えるか、ハンドルのライザーをプルバックタイプに変えるか、もしくはシートを変える必要がある。
ツアラーのシートを低くして、なおかつ少し前に出したいという要望は結構多い。
そこで、シートメーカーでもその為のシートを用意している。
その名も”アップ&フロント・シート”。ヒップ部分を前方にアップして着座位置を前方に持ってきている。
左はラペラのベアボーンズの通常のシートと、アップフロントシートの違い。
コンセプトは同じだが、アップフロントシートの方が着座位置が前方に移動になっている。
低くて、しかもハンドルが近くなるシートが欲しかった人にはピッタリだ。
左はラペラのAviatorシートの例。
やはりヒップポイントが前に移動しているのが判る。
上から見ると同等形状だが、横から見ると違いが大きい。
Mustang社からは日本からのリクエストで日本向けにだけ出荷している”ジャパンフィット”という
シートが存在する。
パッセンジャー部はノーマルと同様にクッション性を重視し、ライダー部だけシートを薄くしている。
そして前方を細く仕上げて有る。
”ジャパンフィット”シートを横から見てみると違いがよく判る。
明らかに足つきを向上させる事を狙ったシートだ。
ハーレー純正でも左のようなリデュースリーチ・シートという名前のシートがある。
ライダー部のシートの肉厚が薄くなっていて着座位置も前方になっている。足つきも良くなり、ハンドルも近づく。
さらに着座位置を前方に移動する”スーパー”リデュースリーチ・シートというシートもある。
しかし、極端にポジションが変わるので慣れてくると逆に着座位置の自由性がない事に不満を持つことがある。
それに、薄くなっているとはいえ、社外製の薄いシートに比べればまだ厚くて、ぼてっとした印象がある。
③乗り心地を良くして長距離でも疲れない、痛くないようにしたい
一般的にはシートの厚みがある方が乗り心地が良くなる。ただし、使用しているフォームの材質もあるので一概には言えない。
実は横幅も関係している。横幅もある程度ある方が体重が分散されるしホールド性も高まる。
ただし前の部分の横幅があると、足を付こうとしたときに邪魔になってしまう。
そこで、特に社外のシートメーカーでは前方の幅を狭くして足つき性を良くし、お尻の部分は横幅を確保しているシートもある。
(例)マスタング社のトリッパーシートは前部の幅を狭くして足つき性を良くしながらお尻の部分の肉厚と幅は快適性を維持できるよう考慮している。
④シートストッパー機能が欲しい
長距離を走ると腰に負担がかかってくる。ドライバーバックレストを装備するのも一つの方法。
特に長距離では体の負担が大きく異なってくる。
(例)左はラペラ社のベアボーンズシートでバックレストがセットになっている物。
他にもバックレストがオプションになっているシートが多くある。
ハーレーのシートは選ぶのに迷う楽しみがある。